読書記(1)「インプット大全」| 量ではなく質を、努力より仕組み化を

「学び効率が最大化する インプット大全」[著] 樺沢紫苑

 最近は「モノの見方」「学び方」そのものを書いた本を多く読んでいます。 本書もその一つです。インプット大全は、2018年8月に発売された「アウトプット大全」の裏面、または、「アウトプット」を完全にするためのものとして書かれた本です。

 広い意味での『学習』には、

  • インプット - 情報を頭に入れること
  • アウトプット - 学んだことを出力すること

の2つが存在します。どちらが欠けても高い学習効果を得られることはできません。

 本書は、そんなインプットの効果的な実施方法を、脳科学、心理学などの学術的な研究データに基づいて提示してくれる本です。

 誌面構成は基本的に青色-灰色-黒色をベースに、見やすい文字の大きさですっきりとまとまっており、基本的に見開き1ページで一つのインプットのコツが収まっています。見開き右ページの右下にはそのページの要点が1〜2センテンスで纏まっていて、大事な点を容易に把握できます。

特に印象に残ったこと

①インプットは常にアウトプットを前提にして行う

 インプットは、その後のアウトプットを意識して行うのと、しないで行うのでは、定着率が大きく異なるという内容です。

 例えば、授業を聞くとき。授業中、普通に先生の話を聞きながら板書をノートに写したとします。授業終了後に、その授業の内容がどういうものだったのかと尋ねると、多くの人が答えられない。原因はノートを書くことに集中していること。情報を頭に入れっぱなしで、自分の言葉でアウトプットする機会がないと、自分の中に止まらずに抜けていってしまうのです。

②インプットは、ゴールを始めに決める

 ゴールと期限を設定することは、目標を達成する上で最も重要なポイントです。

「ゴール」を決めなければ、インプットを行う際に何が自分にとって重要で、何がそれほど重要でないのかを判断することができません。情報選択の質を確保することは、そのままインプットの質を上げることにつながります。ゴールを設定することは、自分にとって有用な情報選択の軸を持つということです。

③情報は取りに行くのではなく、自動的に届くようにする

 こちらはデジタル時代の「情報の取り方」についてのハックです。X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSでは、フォローしたトピックがタイムラインに流れてくるという形が一般的ですが、よりまとまった情報や、確度の高い情報を得たい場合は、個別のブログやWebサイトを閲覧したほうが良い場合が多いです。

 しかし、ブラウザでキーワード検索をして探すといった「取りに行く」やり方をすると、自分にとって有用な情報に辿り着くまでに時間がかかる上に、質のよい情報を判断する手間もかかります。

 そこで、本書では、質の良い情報が自動的に届く仕組みを作ることを進めています。

 本書では、設定したトピックをもとにその日の新着情報を一つのメールにまとめて送ってくれる「Googleアラート」が紹介されていました。誰かがその記事を有用だと判断してブックマークした記事を探すことができる「はてなブックマーク」などを利用するやり方も、情報のインプットに効果的だと思います。

感想

 本書を読んで、いくつかを実践することで、脳の仕組みを味方につけてインプットすることの大切さを実感しました。脳科学者でもない普通の人は脳の仕組みはわかりません。だからこそ、本で勉強するのが大事です。

 また、学習というものは「頑張る」という意思よりもむしろ、頑張らなくても学習が進む仕組みを作るということが重要だと感じました。学生と違い、社会人には時間もなければ心の余裕もありません。「頑張る」では続かないのです。

 勉強を頑張るのではなく、勉強を頑張らなくて済むやり方を整えることをまずは実行していこうと思います。